法人口座開設に生年月日は不要。では他に必要な情報は?

法人口座を開設する際、多くの方が「生年月日は必要?」と疑問に思われます。実は、法人口座の開設では法人自体の生年月日は存在しないため、代表者の生年月日の提出が中心となります。しかし、手続きには他にも重要な書類や情報が必要です。本記事では、法人口座開設に必要な書類と手続きの流れについて、わかりやすく解説いたします。
なぜ法人口座開設で生年月日が問題になるのか
法人口座を開設する際、個人の口座開設とは大きく異なる点があります。個人の場合は本人の生年月日が重要な識別情報となりますが、法人の場合は状況が異なります。
法人には「生年月日」が存在しない
法人は法的な存在として会社設立日(設立年月日)はありますが、個人のような「生年月日」という概念はありません。法人の識別は「商号(会社名)」と「本店所在地」が中心となります。
法人口座開設では、法人そのものではなく、代表者や実質的支配者といった「関係する個人」の生年月日が必要になる場合があります。
なぜ代表者の生年月日が必要なのか
銀行が法人口座を開設する際、以下の理由で代表者の生年月日が必要となります:
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)との照合
- 犯罪収益移転防止法に基づく実質的支配者の確認
- 反社会的勢力でないことの確認
- 代表者の信用調査
法人口座開設に必要な主要書類一覧
法人口座を開設する際に必要な書類は、金融機関によって多少異なりますが、一般的に以下の書類が求められます。
書類名 | 発行元 | 有効期限 | 必要性 |
---|---|---|---|
履歴事項全部証明書(登記事項証明書) | 法務局 | 発行から6ヶ月以内 | 必須 |
法人の印鑑証明書 | 法務局 | 発行から6ヶ月以内 | 必須(一部銀行では不要の場合あり) |
代表者の本人確認書類 | 各種機関 | 有効期限内 | 必須 |
定款 | 自社 | 最新版 | 必須 |
実質的支配者確認書類 | 各種 | 最新のもの | 必須 |
代表者の本人確認書類で必要な情報
代表者の本人確認書類では、以下の情報が確認されます:
- 氏名
- 住所
- 生年月日
- 顔写真(運転免許証やマイナンバーカードの場合)
必要ページ/面:1)氏名記載面 2)住所記載面 3)生年月日記載面
実質的支配者の確認が重要な理由
2016年10月の犯罪収益移転防止法の改正により、法人口座開設時には「実質的支配者」の確認が義務化されました。
実質的支配者とは
実質的支配者とは、法人の議決権の25%を超える議決権を直接または間接に有している個人のことです。法人の事業活動に支配的な影響力を持つ人物を指します。
実質的支配者が個人の場合、その個人の氏名・住所・生年月日等の確認が必要になります。この確認により、マネーローンダリングなどの犯罪を防止しています。
実質的支配者の確認書類
実質的支配者の確認には、以下のような書類が必要です:
- 株主名簿
- 有価証券報告書
- 実質的支配者リスト
- 法人税確定申告書別表二の明細書の写し
実質的支配者(BO:Beneficial Owner)とは、法人の議決権の総数の4分の1を超える議決権を直接又は間接に有していると認められる自然人等をいいます
銀行別の必要書類の違い
主要な銀行における法人口座開設の必要書類を比較してみましょう。
みずほ銀行の場合
みずほ銀行では、インターネット申込と店舗申込で必要書類が異なります。
インターネット申込の場合
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書など)
- 代表者・役員・実質的支配者などの氏名・住所・生年月日などが確認できる書類
- 面談者の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード等)の画像データ
- 実質的支配者の確認ができる書類
店舗申込の場合
- 法人印鑑
- 登記事項証明書(発行日から6ヵ月以内の原本)
- 来店者の本人確認書類
- 事業内容や事業実態の分かる書類
楽天銀行の場合
楽天銀行の法人ビジネス口座開設では、以下の書類が必要です:
- 法人の登記事項証明書
- 代表者の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 法人の印鑑証明書
- 実質的支配者に関する情報
法人口座開設の手続きの流れ
一般的な法人口座開設の手続きは以下の流れで進みます:
- 事前準備:必要書類の収集と確認
- 申込:銀行への申込手続き(インターネットまたは店舗)
- 一次審査:提出書類による審査
- 面談:担当者との面談(ウェブまたは店舗)
- 最終審査:総合的な審査
- 口座開設完了:通帳・キャッシュカードの発行
法人口座開設の審査には、一般的に2週間から1ヶ月程度かかります。年末年始や大型連休を挟む場合は、さらに時間がかかる可能性があります。
審査を通過するためのコツ
法人口座開設の審査をスムーズに通過するためには、以下の点に注意しましょう。
書類の不備を避ける
- 申込内容と提出書類の内容に相違がないか確認
- 必要書類の期限(発行から6ヶ月以内など)を確認
- 書類の写しが鮮明であることを確認
- すべての必要書類が揃っていることを確認
事業実態を明確に示す
銀行は事業の実態があることを重視します。以下のような資料を準備しておくと良いでしょう:
- 会社案内やパンフレット
- ウェブサイトのURL
- 受注書・発注書・請求書など
- 法人名義の税金領収書
よくある質問と回答
質問 | 回答 |
---|---|
設立直後でも法人口座は開設できますか? | はい、設立登記完了後であれば開設可能です。ただし、事業実態を示す資料の提出が求められる場合があります。 |
代表者が外国人の場合、追加で必要な書類はありますか? | 在留カードや外国人登録証明書などの追加書類が必要になる場合があります。 |
上場企業の場合、実質的支配者の確認は不要ですか? | はい、上場企業およびその子会社の場合、実質的支配者の確認は原則として不要です。 |
オンラインのみで口座開設は完結しますか? | 多くの銀行でウェブ面談による完全オンライン開設が可能になっています。 |
まとめ
法人口座開設において、法人自体に生年月日は存在しませんが、代表者や実質的支配者の生年月日は重要な確認事項となります。
必要な書類は金融機関によって多少異なりますが、共通して重要なのは以下の点です:
- 履歴事項全部証明書などの法人関連書類
- 代表者の本人確認書類(生年月日含む)
- 実質的支配者の確認書類
- 事業実態を示す資料
審査には時間がかかるため、必要書類を事前に準備し、余裕を持って申込を行うことが重要です。また、書類の不備は審査遅延の原因となるため、提出前の十分な確認を心がけましょう。
法人口座開設を検討している場合は、まず開設したい銀行の公式サイトで最新の必要書類を確認し、事前に準備を進めることをおすすめします。不明な点があれば、各銀行の相談窓口に問い合わせることで、スムーズな口座開設が可能になります。