法人口座が開設できない!そんな時は審査基準や銀行の選び方を知ろう

会社を設立したものの、法人口座が開設できないという問題に直面している経営者の方は少なくありません。近年、マネーロンダリング(資金洗浄)防止の観点から、金融機関の審査は厳格化しており、法人口座開設のハードルは以前よりも高くなっています。本記事では、法人口座開設を断られる理由と審査のポイント、そして銀行選びの見直し方法について、わかりやすく解説いたします。
法人口座開設が断られる主な理由
法人口座の開設が断られる理由は様々ですが、主に以下の6つのポイントが挙げられます。それぞれの理由と対策について詳しく見ていきましょう。
資本金が少ない
資本金が50万円以下の場合、銀行から事業の継続性や信頼性に疑問を持たれる可能性があります。特に都市銀行では、資本金の額を重視する傾向があります。
資本金を100万円以上に設定することで、銀行からの信頼度が向上します。また、資本金の出所を明確に説明できるよう準備しておくことも重要です。
登記場所に問題がある
バーチャルオフィスや自宅住所での登記、レンタルオフィスの場合、実際の事業実態が把握しにくいため、審査に悪影響を与える可能性があります。
- バーチャルオフィスでの登記
- 自宅住所での登記(マンション等)
- 短期間のレンタルオフィス
- 他社と同じ住所での登記
事業内容が不明瞭
履歴事項全部証明書の事業目的が20以上記載されている場合や、事業内容が具体的でない場合、何をしている会社なのかが判断できないため、審査に通りにくくなります。
代表者の信用情報に問題がある
代表者や役員に以下のような履歴がある場合、審査に大きな影響を与えます。
- 過去の金融事故(自己破産、債務整理等)
- 税金の滞納履歴
- 他の法人での信用情報に問題
- 反社会的勢力との関係
書類の不備・不足
必要書類の不備や記載内容の不一致は、審査落ちの最も多い理由の一つです。特に以下の点に注意が必要です。
書類名 | 注意点 |
---|---|
履歴事項全部証明書 | 発行から3〜6ヶ月以内のもの |
定款 | 認証済みの原本またはコピー |
印鑑証明書 | 発行から3ヶ月以内のもの |
本人確認書類 | 有効期限内で鮮明なもの |
事業実態の確認ができない
以下のような場合、事業実態が不明確と判断され、審査に通りにくくなります。
- ホームページが存在しない
- 固定電話番号がない
- 事業計画書が不十分
- 許認可が必要な業種で未取得
法人口座開設の審査ポイント
銀行が法人口座開設の審査で重視するポイントを理解することで、審査通過率を大幅に向上させることができます。
事業内容の明確性
銀行は「何をしている会社なのか」を明確に把握したいと考えています。事業内容を説明する際は、以下の点を意識しましょう。
- 具体的な商品・サービスの内容
- 対象となる顧客層
- 収益構造の説明
- 将来の事業計画
資本金の妥当性
資本金の額だけでなく、出所の明確性も重要な審査ポイントです。親族からの借入れや個人貯蓄など、資金の出所を明確に説明できるよう準備しておきましょう。
代表者の信頼性
代表者の経歴や過去の実績、金融機関との取引履歴などが総合的に判断されます。面談時には、誠実な対応を心がけることが重要です。
・事業内容を分かりやすく説明する
・必要書類を完璧に準備する
・質問に対して誠実に回答する
・将来の展望を具体的に説明する
銀行の選び方と見直し方法
法人口座開設を断られた場合、銀行選びを見直すことで成功率を高めることができます。以下の観点から最適な銀行を選択しましょう。
ネット銀行の活用
ネット銀行は審査が比較的柔軟で、法人口座開設の成功率が高いとされています。特に以下の銀行がおすすめです。
銀行名 | 特徴 | メリット |
---|---|---|
GMOあおぞらネット銀行 | 審査が比較的柔軟 | 振込手数料が安い |
住信SBIネット銀行 | 実績豊富 | 24時間取引可能 |
楽天銀行 | 開設しやすい | 楽天ポイントが貯まる |
PayPay銀行 | スピード開設 | 手数料が安い |
地方銀行・信用金庫の検討
地域密着型の事業を展開する場合、地方銀行や信用金庫での開設を検討することをおすすめします。メガバンクに比べて審査が柔軟で、地域の事情を理解してもらいやすいメリットがあります。
日本政策金融公庫利用者の優遇
日本政策金融公庫から創業融資を受けている場合、その実績を活用することで法人口座開設の成功率を高めることができます。
・事業実態が公庫により確認済み
・反社会的勢力でないことが証明済み
・事業計画の妥当性が認められている
審査通過率を高める具体的な対策
書類準備の徹底
審査通過のためには、完璧な書類準備が不可欠です。以下のチェックリストを活用しましょう。
- 履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内)
- 定款の写し(認証済み)
- 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
- 代表者の本人確認書類
- 事業内容説明書
- 資本金の出所証明書類
- 事業計画書
- 許認可証(必要な場合)
事業実態の証明
事業実態を明確に示すため、以下の準備を行いましょう。
- ホームページの作成
- 固定電話番号の取得
- 名刺やパンフレットの作成
- 事業所の写真撮影
- 取引先との契約書準備
複数の銀行への同時申請
一つの銀行で断られても、他の銀行では審査に通る可能性があります。効率的に進めるため、複数の銀行に同時申請することをおすすめします。
まとめ
法人口座開設ができない理由は様々ですが、適切な準備と対策を行うことで成功率を大幅に向上させることができます。特に重要なのは、事業内容の明確化、完璧な書類準備、そして自社に適した銀行選びです。
メガバンクで断られた場合でも、ネット銀行や地方銀行、信用金庫など、他の選択肢を検討することで解決策が見つかる可能性があります。諦めずに、複数の金融機関にアプローチすることが成功への鍵となります。
・事業内容を分かりやすく説明できるか
・必要書類に不備はないか
・資本金の出所を明確に説明できるか
・事業実態を証明できる資料があるか
・複数の銀行に申請しているか
法人口座開設は会社運営において重要な基盤となります。本記事の内容を参考に、計画的に進めていただければと思います。
※本記事の情報は2025年1月時点のものです。最新の情報については各金融機関にお問い合わせください。
出典:みずほ銀行、GMOあおぞらネット銀行、各種金融機関公式サイト