法人口座をネットバンクにするメリット6つと大手銀行との比較

法人口座をネットバンクで開設することは、コスト削減と業務効率化を実現する有効な手段です。従来の大手銀行と比較すると、手数料の安さや審査の通りやすさなど、多くのメリットがあります。本記事では、法人口座をネットバンクにする6つのメリットと、大手銀行との詳細な比較を分かりやすく解説します。
法人口座をネットバンクにする6つのメリット
法人口座をネットバンクで開設することには、従来の大手銀行では得られない多くの利点があります。ここでは、最も重要な6つのメリットについて詳しく解説します。
メリット1:手数料が圧倒的に安い
ネットバンクの最大のメリットは、手数料の安さです。店舗を持たない分、人件費や家賃などの運営コストが削減され、その分を手数料の引き下げに活用しています。
- GMOあおぞらネット銀行:他行宛振込手数料 145円
- 住信SBIネット銀行:他行宛振込手数料 130~145円
- 三菱UFJ銀行:他行宛振込手数料 最大660円
- みずほ銀行:他行宛振込手数料 最大660円
例えば、月に10回振込を行う場合、ネットバンクなら月額約1,450円、大手銀行なら約6,600円となり、年間で約6万円以上の差が生まれます。
メリット2:口座開設が最短即日で完了
ネットバンクでは、Web完結で口座開設の申し込みができるため、非常にスピーディです。書類の郵送や店舗への訪問が不要で、オンラインで全ての手続きが完結します。
銀行種別 | 口座開設期間 | 手続き方法 |
---|---|---|
GMOあおぞらネット銀行 | 最短即日 | Web完結 |
住信SBIネット銀行 | 最短翌営業日 | Web完結 |
PayPay銀行 | 最短3日 | Web完結 |
三菱UFJ銀行 | 4週間程度 | 来店・郵送 |
三井住友銀行 | 1ヶ月程度 | 来店・郵送 |
みずほ銀行 | 1ヶ月程度 | 来店・郵送 |
メリット3:審査が通りやすい
ネットバンクは、審査難易度が低く、設立1年未満の企業や中小企業でも口座開設しやすいことが特徴です。実際の審査通過率を見ると、その差は明らかです。
実際の審査通過率データ:ネット銀行約40%(楽天銀行42.4%、PayPay銀行40.2%、セブン銀行38.7%)vs メガバンク約15%(三菱UFJ銀行15.3%、三井住友銀行14.9%)
出典:gritweb.co.jp
この差は、ネットバンクが企業規模の大小に関わらず幅広い企業を対象としているためです。一方、大手銀行では設立年数や資本金などの条件が厳しく設定されています。
メリット4:24時間365日いつでも利用可能
ネットバンクのインターネットバンキングは、24時間365日利用可能です。営業時間を気にすることなく、いつでも振込や残高確認などの業務を行えます。
- 深夜や早朝でも振込手続きが可能
- 土日祝日でも取引履歴の確認ができる
- 海外出張中でも日本の取引先への送金が可能
- 会計処理のタイミングに合わせて柔軟に対応
メリット5:維持費が無料
多くのネットバンクでは、口座維持費が無料です。これは、収益が少ない創業期の企業や、経費削減を重視する中小企業にとって大きなメリットとなります。
銀行名 | 口座維持費 | インターネットバンキング利用料 |
---|---|---|
GMOあおぞらネット銀行 | 無料 | 無料 |
住信SBIネット銀行 | 無料 | 無料 |
楽天銀行 | 無料 | 無料 |
三菱UFJ銀行 | 月額1,760円 | 月額1,760円 |
みずほ銀行 | 月額3,300円 | 月額3,300円 |
メリット6:来店不要でWeb完結
ネットバンクでは、来店不要でWeb完結の手続きが可能です。忙しい経営者にとって、銀行に出向く時間を省略できることは大きなメリットです。
- 営業時間を気にせず申し込みができる
- 交通費や移動時間を節約できる
- 必要書類をスマホで撮影して提出可能
- 審査状況をリアルタイムで確認できる
ネットバンクと大手銀行の詳細比較
ここでは、法人口座選びで重要な項目について、ネットバンクと大手銀行を詳しく比較します。
手数料比較
振込手数料は、法人口座の運用コストに大きく影響します。ネットバンクの手数料は大手銀行の約4分の1という圧倒的な差があります。
項目 | ネットバンク平均 | 大手銀行平均 | 差額 |
---|---|---|---|
他行宛振込手数料(3万円未満) | 約150円 | 約500円 | 約350円 |
他行宛振込手数料(3万円以上) | 約160円 | 約660円 | 約500円 |
同行宛振込手数料 | 多くが無料 | 110~330円 | 110~330円 |
口座維持費 | 無料 | 月額1,760~3,300円 | 月額1,760~3,300円 |
審査難易度とサポート体制
審査の通りやすさは、特に創業期の企業にとって重要な要素です。ネットバンクは審査基準が柔軟で、新設法人でも口座開設しやすい環境が整っています。
ネットバンクの審査の特徴
- 設立1年未満の企業でも申し込み可能
- 資本金や売上高の基準が比較的緩い
- オンラインでの書類提出で審査が進む
- 人工知能による自動審査で迅速な判定
大手銀行の審査の特徴
- 設立2年以上の実績を求められることが多い
- 資本金や事業計画の詳細な審査
- 面談による厳格な審査プロセス
- 既存取引の有無が重視される
サービス内容の比較
ネットバンクと大手銀行では、提供するサービスの内容も大きく異なります。
サービス項目 | ネットバンク | 大手銀行 |
---|---|---|
インターネットバンキング | 標準対応・無料 | 有料オプション |
スマホアプリ | 高機能アプリ提供 | 基本機能のみ |
総合振込サービス | 無料~低料金 | 高額な利用料 |
会計ソフト連携 | 多数対応 | 限定的 |
ビジネスデビットカード | 高還元率 | 標準的な還元率 |
対面サポート | 限定的 | 充実 |
融資サービス | 限定的・高金利 | 充実・低金利 |
ネットバンクのデメリットと注意点
ネットバンクには多くのメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。メリットとデメリットを正しく理解して、自社に適した銀行を選択することが重要です。
主なデメリット
- 対面サポートが限定的:店舗がないため、直接相談できる機会が少ない
- 社会的信用度:大手銀行と比べて知名度が低く、取引先から不安視される場合がある
- 融資条件:ビジネスローンの金利が高く、融資限度額も小さい
- ATM利用制限:提携ATMが限られており、現金の取り扱いが不便
- 口座振替の制限:税金や社会保険料の自動引き落としに対応していない場合がある
デメリットへの対策
- 複数の銀行口座を使い分けて、それぞれの強みを活用
- 専門家やコンサルタントを活用して、対面サポートの不足を補う
- セキュリティ対策を徹底し、安全な取引環境を構築
- 事前に口座振替対応状況を確認し、必要に応じて複数口座を開設
おすすめのネットバンク3選
法人口座におすすめのネットバンクを、特徴とともに紹介します。
GMOあおぞらネット銀行
業界最低水準の手数料を実現しているネットバンクです。他行宛振込手数料が一律145円と、コスト面で大きなメリットがあります。
- 口座開設から翌々月まで月20回の振込手数料無料
- 口座維持費・インターネットバンキング利用料が無料
- 最短即日での口座開設が可能
- 1%のキャッシュバック付きデビットカード
住信SBIネット銀行
高機能なスマホアプリを提供しており、外出先でも便利に利用できます。法人口座専用アプリで取引認証も可能です。
- 振込手数料が月10回まで無料
- スマート認証NEOで高いセキュリティを実現
- 最短翌営業日での口座開設
- 豊富な会計ソフト連携機能
楽天銀行
最大20口座まで開設可能で、部署や事業部門ごとに資金管理ができます。楽天グループのサービスとの連携も魅力です。
- 複数口座での詳細な資金管理が可能
- 楽天ポイントが貯まるデビットカード
- 充実したインターネットバンキング機能
- 24時間365日のカスタマーサポート
まとめ
法人口座をネットバンクで開設することは、コスト削減と業務効率化の両方を実現できる優れた選択肢です。特に、創業期の企業や中小企業にとって、手数料の安さや審査の通りやすさは大きなメリットとなります。
ただし、デメリットも理解した上で、自社の事業内容や規模に適した銀行を選択することが重要です。多くの企業では、ネットバンクをメインバンクとして活用し、必要に応じて大手銀行との併用を検討することで、それぞれのメリットを最大限に活用しています。
法人口座の開設を検討している企業は、まず自社の優先事項を明確にし、複数の銀行を比較検討することをおすすめします。適切な銀行選択により、企業の成長と発展をサポートする強力なパートナーを得ることができるでしょう。
- 月間の振込回数と手数料を試算する
- 審査基準と自社の条件を照らし合わせる
- 必要なサービス機能が提供されているか確認する
- 将来の事業拡大を見据えた銀行選択を行う