法人口座をメガバンクで開設するメリットやデメリット、審査の厳しさ

法人口座をメガバンクで開設することは、多くの企業にとって重要な経営判断の一つです。メガバンクでの口座開設には多くのメリットがある一方で、審査が厳しく、手数料が高いなどのデメリットも存在します。この記事では、法人口座をメガバンクで開設する際の詳しい情報をわかりやすく解説いたします。
メガバンクとは何か?
メガバンクとは、総資産1兆ドルを超える巨大な銀行グループのことを指します。日本では以下の3つの銀行がメガバンクと呼ばれています。
- 三菱UFJ銀行:国内売上高1位を誇る、国内最大手の銀行
- 三井住友銀行:国内で最も利益率の高い銀行
- みずほ銀行:顧客ニーズに特化した非財閥系の銀行
これらの銀行は全国に支店を持ち、豊富な資金力と高い信頼性を誇っています。
メガバンクで法人口座を開設するメリット
社会的信頼性の向上
メガバンクの法人口座を持つことで、企業の社会的信頼性が大幅に向上します。取引先や顧客から「信頼できる企業」として認識されやすくなり、ビジネスチャンスの拡大につながります。
大口融資の可能性
メガバンクは豊富な資金力を持っているため、数億円規模の大口融資を受けられる可能性があります。また、金利も比較的低く設定されているため、長期的な資金調達において有利です。
充実した金融サービス
- 海外送金サービス
- 為替予約サービス
- 資金管理サービス
- 各種保険商品
- 投資信託
メガバンクで法人口座を開設するデメリット
審査の厳しさ
メガバンクの法人口座開設審査は非常に厳しいことで知られています。特に創業1年未満の企業では、事業実績が少ないため審査通過が困難な場合があります。
創業1年未満の企業は、事業の実績が少なく、審査の材料も乏しいため、メガバンクの法人口座の審査に通りにくいのは事実です。
高い手数料
手数料項目 | メガバンク | ネット銀行 |
---|---|---|
他行宛振込手数料 | 250円~350円 | 150円~250円 |
ネットバンキング月額利用料 | 1,000円~4,000円 | 0円~ |
口座維持手数料 | 2,200円~3,300円 | 無料 |
開設までの時間
メガバンクの法人口座開設には、通常2~4週間程度の時間がかかります。面談の予約が取りにくい場合もあり、急いで口座を開設したい場合には不向きです。
メガバンクの審査が厳しい理由
金融犯罪の防止
近年、振り込め詐欺や還付金詐欺、マネーロンダリングなどの金融犯罪が増加しており、銀行は厳格な審査を行うことで犯罪防止に努めています。
犯罪で得た資金の送金を転々と繰り返し、出所や所有者を分からないようにする行為のことです。国際的にもテロ資金供与防止の観点から規制が強化されています。
企業の実績と信用の重視
メガバンクでは以下のような点が審査で重視されます:
- 企業としての実績の有無
- 取引先の数や事業規模
- 収益性の見込み
- 経営者の信用度
審査通過のための具体的な対策
資本金の準備
資本金は最低でも100万円以上用意することが推奨されます。資本金の額は、企業の信用度や将来性を判断する重要な指標となります。
必要書類の準備
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
- 法人の印鑑証明書
- 代表者の本人確認書類
- 本店所在地確認書類
追加で用意すべき書類
- 許認可証:事業に必要な許認可を受けている証明
- 自社Webサイト:事業内容を明確に示すホームページ
- 事業計画書:具体的な事業計画と収益予測
- 取引実績書類:契約書、請求書、領収書など
- 取引先リスト:主要な取引先の情報
面談での注意点
面談では以下の内容について明確に説明できるよう準備しましょう:
- 代表者のプロフィールと経歴
- 事業内容と目的
- 事業計画の概要
- 法人口座開設の目的
- メガバンクを選んだ理由
メガバンク以外の選択肢
地方銀行
地方銀行は地域密着型のサービスが特徴で、創業融資が受けやすいというメリットがあります。地域で事業を展開する企業に適しています。
信用金庫
信用金庫は審査が比較的柔軟で、設立直後でも口座開設しやすいのが特徴です。地域に根ざした企業づくりを目指す場合におすすめです。
ネット銀行
ネット銀行は以下のメリットがあります:
- 審査が比較的柔軟
- 手数料が安い
- 24時間365日取引可能
- 最短即日~2営業日で開設可能
銀行選びのポイント
重視する点 | おすすめの銀行 | 理由 |
---|---|---|
企業の信頼性向上 | メガバンク | 高いブランド力と社会的信用 |
コストパフォーマンス | ネット銀行 | 低い手数料と高い利便性 |
融資の受けやすさ | 地方銀行・信用金庫 | 地域密着型で親身な対応 |
スピード重視 | ネット銀行 | 最短即日開設可能 |
法人口座開設の一般的な流れ
- 事前準備:必要書類の準備と事業計画の整理
- 申込み:インターネットまたは店舗で申込手続き
- 面談:銀行担当者との面談(オンラインまたは店舗)
- 審査:提出書類と面談内容に基づく審査
- 口座開設:審査通過後、口座開設完了
よくある審査落ちの原因と対策
主な審査落ちの原因
- 事業内容が不明瞭
- 資本金が少なすぎる
- 必要書類に不備がある
- 本店所在地がバーチャルオフィス
- 代表者の金融事故歴
対策方法
- 事業内容を明確に説明できる資料を準備
- 十分な資本金を用意(100万円以上推奨)
- 書類の不備がないよう事前にチェック
- 実際の事業所住所で登記
- 代表者の信用情報を確認
まとめ
法人口座をメガバンクで開設することは、企業の信頼性向上や大口融資の可能性など多くのメリットがありますが、審査が厳しく、手数料が高いなどのデメリットも存在します。
創業初期の企業の場合、まずは審査が比較的柔軟なネット銀行や地方銀行で口座を開設し、事業が軌道に乗った段階でメガバンクでの口座開設を検討するという戦略も有効です。
重要なのは、自社の事業規模や資金需要、将来的な展望を踏まえて、最適な銀行を選択することです。複数の銀行に口座を開設し、用途に応じて使い分けることも可能ですので、まずは自社のニーズを明確にして、適切な銀行選びを行いましょう。
