法人口座開設が難しいと言われる理由7つをそれぞれ簡単解説

法人口座開設が厳しくなった社会的背景

法人口座開設の審査が厳しくなった最大の理由は、犯罪対策の強化です。過去に法人口座が振り込み詐欺やマネーロンダリング（資金洗浄）に悪用されるケースが多発したため、銀行などの金融機関では「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に基づき、厳格な審査を行うことが義務付けられています。

法人口座開設を断られる7つの主な理由

1. 書類の不備や内容の不一致

最も多い理由の一つが、提出書類の不備です。申込書と登記書類の住所が異なっていたり、必要書類が不足していたりすると、審査に通ることができません。また、履歴事項全部証明書や印鑑証明書の有効期限が切れている場合も審査対象外となります。

2. バーチャルオフィスの利用

バーチャルオフィスを本店所在地として登記している場合、実際の事業実態が確認しづらいため、多くの金融機関で口座開設が困難になります。銀行側は「実際にそこで事業を行っているのか」を重視するため、物理的な事務所がない状態では信頼性が低いと判断されがちです。

3. 資本金が少額

法律上は資本金1円でも会社設立は可能ですが、資本金があまりにも少ないと「実態のない会社（ペーパーカンパニー）」と疑われる可能性があります。一般的に、資本金は最低でも100万円以上あることが望ましいとされています。

4. 事業内容や目的が不明瞭

履歴事項全部証明書の事業目的が20個以上あったり、何をする会社なのかが分からない状態では、銀行側が事業実態を把握できず、審査通過が困難になります。事業内容は明確で具体的である必要があります。

5. 代表者の信用情報に問題がある

代表者が過去に金融事故や破産歴がある場合、または反社会的勢力との関わりが疑われる場合は、法人口座開設が非常に困難になります。個人の信用情報は法人口座開設にも大きく影響します。

6. 許認可の未取得

建設業や運送業、食品関連事業など、許認可が必要な業種で事業を行う場合、必要な許認可を取得していないと口座開設を断られることがあります。

7. 本店所在地と実際の事業所の相違

登記上の本店所在地と実際に事業を行っている場所が異なる場合、事業実態の確認が困難になり、審査に悪影響を与える可能性があります。

金融機関別の審査基準と特徴

法人口座開設に必要な書類と準備

基本的な必要書類

• 履歴事項全部証明書（発行から6ヶ月以内）
• 印鑑証明書（発行から6ヶ月以内）
• 代表者の本人確認書類（運転免許証、パスポートなど）
• 法人の定款
• 法人印鑑

審査を有利にする追加書類

• 事業計画書
• 会社案内やパンフレット
• ホームページのURL
• 事務所の賃貸借契約書
• 許認可証（該当する場合）
• 取引先との契約書や見積書

スムーズな口座開設のための具体的対策

事前準備のポイント

1. 固定電話の設置：事業の実態を示すため、固定電話番号を用意しましょう
2. ホームページの作成：事業内容を具体的に説明できるウェブサイトを準備します
3. 事業計画書の作成：具体的な事業内容、収益計画、将来性を記載します
4. 実態のある事務所：バーチャルオフィスではなく、実際の事務所を確保します

個人口座との関係を活用する

代表者個人がすでに口座を持っている金融機関では、個人の取引実績が評価され、法人口座開設の審査で有利になることがあります。給与口座として長年利用している銀行があれば、そこから申し込みを始めることも効果的です。

口座開設にかかる時間と期間

審査に落ちた場合の対処法

原因の分析と改善

審査に落ちた場合、金融機関は詳細な理由を教えてくれませんが、一般的な落ちる理由を参考に自社の状況を見直しましょう。資本金の増額、事業内容の明確化、必要書類の充実などの改善を行います。

他の金融機関への申し込み

一つの金融機関で断られても、他の金融機関では審査に通る可能性があります。特に、審査基準の異なる複数の金融機関に段階的に申し込むことで、成功の可能性が高まります。

「法人口座開設は、事業を始める上で避けて通れない重要な手続きです。準備を怠らず、適切な対策を講じることで、必ず成功することができます。」

出典：中小企業庁「創業・ベンチャー支援施策」

まとめ

法人口座開設が難しくなった理由は、主に犯罪対策の強化によるものです。しかし、適切な準備と対策を行えば、必ず開設することができます。重要なのは、事業の実態を明確に示し、信頼性を高めることです。

まずは審査の通りやすいネット銀行から始め、段階的に他の金融機関との取引を拡大していくことをおすすめします。法人口座開設は事業運営の基盤となる重要な手続きですので、時間をかけてしっかりと準備を行いましょう。

松本瑛二

CMO

aboutha株式会社 CMO マーケティング統括を行いながら、自身の会社を2024年に立ち上げ。 "価値を正しく伝える"がモットー。 このサイトでは自身の会社立ち上げの際に法人口座の開設が大変だったことから、これから企業を立ち上げていこう、もしくは口座を新しく開設しようとお考えの方に向けてわかりやすく解説していきます。