当座預金が使える法人口座のおすすめ銀行は?

法人口座を開設する際に「当座預金」という言葉を聞いたことはありませんか?当座預金は企業の事業活動において重要な決済手段となる口座の種類です。
本記事では、法人口座の当座預金について、普通預金との違いやメリット・デメリット、おすすめの銀行まで詳しく解説します。これから法人口座の開設を検討している経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
当座預金とは?基本的な仕組みを理解しよう
当座預金とは、企業や個人事業主が手形や小切手の支払いに使用する専用の口座です。普通預金とは異なり、現金での支払いではなく、手形や小切手といった「信用取引」での決済を目的としています。
当座預金は「決済用預金」と呼ばれる種類に分類され、以下の3つの特徴を持っています。
- 無利息である
- いつでも払い戻しができる(要求払い)
- 決済サービス(口座振替等)が利用できる
当座預金は利息がつかない代わりに、万が一銀行が破綻した場合でも預金保険制度により全額が保護されます。これは普通預金の元本保証1,000万円までとは大きく異なる特徴です。
当座預金と普通預金の違いを比較
法人口座を開設する際、当座預金と普通預金のどちらを選ぶべきか悩む方も多いでしょう。以下の表で主な違いを確認してみましょう。
項目 | 当座預金 | 普通預金 |
---|---|---|
利息 | 無利息 | 有利息(低金利) |
預金保険制度 | 全額保護 | 元本1,000万円まで保護 |
通帳 | なし(照合表発行) | あり |
ATM利用 | 不可 | 可能 |
手形・小切手 | 発行可能 | 不可 |
主な用途 | 事業決済 | 日常取引・資金管理 |
当座預金のメリット
- 預金の全額保護:銀行破綻時も全額が保険制度で保護される
- 高額取引に適している:1日の引き出し限度額に制限がない
- 手形・小切手が利用できる:企業間取引で信用決済が可能
- 社会的信用の向上:当座預金口座を持つことで取引先からの信頼が高まる
当座預金のデメリット
- 利息がつかない:資金を預けても利息収入が得られない
- ATMが使えない:現金の出し入れは窓口でのみ対応
- 手数料が高い:口座開設時や維持にコストがかかる
- 審査が厳しい:開設には銀行の厳格な審査が必要
当座預金が利用できるおすすめ銀行
当座預金サービスを提供している主要な銀行をご紹介します。それぞれの特徴や手数料を比較して、自社に最適な銀行を選びましょう。
メガバンク3行の比較
銀行名 | 当座預金開設手数料 | ネットバンキング料金 | 特徴 |
---|---|---|---|
みずほ銀行 | 16,500円 | 2,200円〜/月 | 手形・小切手決済に対応(2024年1月4日以降は新規発行停止) |
三菱UFJ銀行 | 不明 | 1,760円/月 | BizSTATIONによる充実したネットバンキング機能 |
三井住友銀行 | 不明 | 2,200円〜22,000円/月 | Trunkサービスで低コスト運用も可能 |
みずほ銀行では、当座預金口座開設手数料として16,500円(消費税等を含む)が必要となります。紙の当座勘定照合表を郵送でお受けになる場合は、当座勘定照合表発行手数料として1通あたり220円(消費税等を含む)が必要となります。
創業期におすすめの銀行選択
創業したばかりの法人にとって、当座預金の開設は必ずしも優先すべき事項ではありません。まずは普通預金での事業運営を開始し、事業が軌道に乗ってから当座預金を検討するのが一般的です。
創業期は「ネット銀行(GMOあおぞらネット銀行など)+信用金庫」の組み合わせがおすすめです。コストを抑えながら、将来的な資金調達に備えた地域金融機関との関係構築も可能です。
当座預金口座の開設方法と必要書類
当座預金口座を開設するには、通常の法人口座開設よりも厳格な審査と多くの書類が必要です。事前にしっかりと準備をしておきましょう。
基本的な必要書類
- 履歴事項全部証明書(発行から6ヶ月以内の原本)
- 法人の印鑑証明書(発行から6ヶ月以内の原本)
- 代表者の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 来店者の本人確認書類(代表者以外が手続きする場合)
- 委任状(代表者以外が手続きする場合)
追加で必要になる可能性がある書類
- 事業計画書
- 決算書(既存法人の場合)
- 許認可証(許認可事業の場合)
- 事業所の賃貸借契約書
- 会社案内・パンフレット
- 主要取引先との契約書
口座開設の流れ
- 事前相談:銀行に電話またはWebで開設可能か相談
- 書類準備:必要書類を漏れなく準備
- 申込手続き:銀行窓口で申込書記入と書類提出
- 審査:銀行による事業内容や財務状況の審査
- 口座開設完了:審査通過後、約1〜2週間で開設
2024年1月4日以降、みずほ銀行では新たに当座預金を開設した場合、手形・小切手の発行ができなくなりました。他の銀行でも同様の制限が設けられる可能性があるため、開設前に最新情報を確認することが重要です。
当座預金を選ぶべき企業の特徴
当座預金が本当に必要かどうかは、事業の性質や規模によって決まります。以下のような企業には当座預金の開設をおすすめします。
当座預金が適している企業
- 大口取引が多い企業:1回の取引金額が高額な卸売業など
- 建設・製造業:手形決済が一般的な業界
- 歴史のある企業:取引先との信用関係が重要な企業
- 資金繰りが安定している企業:手数料負担に問題がない企業
普通預金で十分な企業
- 創業間もない企業:まずは事業の安定化を優先
- 小規模事業者:高額取引や手形決済の必要性が低い
- IT・サービス業:現金決済が中心の業種
- コスト重視の企業:手数料を抑えたい企業
まとめ:法人口座の当座預金は事業規模に応じて検討しよう
法人口座の当座預金は、事業規模や業界特性に応じて必要性が決まる専門的な口座です。手形や小切手による決済が必要な企業や、大口取引が多い企業にとっては重要な決済手段となります。
一方で、創業期の企業や小規模事業者にとっては、高い手数料や厳しい審査を考慮すると、まずは普通預金での事業運営から始めることをおすすめします。事業が安定し、取引先からの要望があった段階で当座預金の開設を検討するのが現実的でしょう。
どの銀行を選ぶかについては、手数料だけでなく、事業内容に対する理解度や将来的な融資相談のしやすさも重要な判断基準となります。複数の銀行に相談し、自社に最適なパートナーとなる金融機関を選択してください。