登記前に法人口座開設は可能?事前準備でやれることは?

これから会社を立ち上げるにあたって、中には少しでもやれることはやっておきたいとお考えの方がいらっしゃるかもしれません。
今回はそんな方に向けて登記前に法人口座開設は可能か、また他にやっておけることはあるのかについてわかりやすく解説していきます。
法人口座開設が登記前に不可能な理由
法人口座の開設には、法人登記の完了が必須条件となります。これは、口座開設に必要な書類が登記完了後でないと取得できないためです。
必要な書類が登記後でないと取得できない
法人口座開設には以下の書類が必要となりますが、これらは全て登記完了後でないと取得できません。
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書):法人の基本情報を証明する書類
- 法人の印鑑証明書:法人の実印を証明する書類
- 法人番号:国税庁が指定する13桁の番号
これらの書類は登記申請を行い、法務局での登記が完了してから初めて取得可能となります。そのため、どんなに早く手続きを進めたくても、登記前の法人口座開設は物理的に不可能です。
法人口座開設の事前準備でできること
登記前には口座開設はできませんが、事前準備を整えることで登記完了後の手続きを大幅に短縮できます。
銀行選びと比較検討
法人口座開設の第一歩は銀行選びです。以下のポイントを比較検討しましょう。
銀行の種類 | 審査難易度 | 特徴 |
---|---|---|
メガバンク | 厳しい | 大企業向け、信頼性高い |
地方銀行 | やや厳しい | 地域密着、融資相談可 |
信用金庫 | やや柔軟 | 中小企業支援に積極的 |
ネット銀行 | 柔軟 | 審査期間短い、手数料安い |
審査対策の準備
法人口座開設の審査を通過するため、以下の対策を事前に準備しましょう。
- 事業内容の明確化:定款の事業目的を絞り込み、一貫性のある事業計画を策定
- 資本金の設定:100万円以上の資本金で信用度を高める
- 固定電話の設置:事業の実態を示すため、会社専用の固定電話を準備
- Webサイトの作成:事業内容や会社概要を掲載した公式サイトを構築
- 事務所の確保:バーチャルオフィスではなく、実際の事務所を準備
必要書類の把握と準備計画
登記完了後にスムーズに書類を集めるため、必要書類一覧と取得方法を事前に確認しておきましょう。
登記申請と同時に、印鑑証明書や登記事項証明書の取得手続きを進めることで、時間を短縮できます。また、定款の認証を受けた際に、原本のコピーを複数作成しておくことも重要です。
法人口座開設に必要な書類一覧
銀行によって多少異なりますが、一般的に以下の書類が必要となります。
法人に関する書類
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書):発行から6ヶ月以内の原本
- 法人の印鑑証明書:発行から6ヶ月以内の原本
- 定款:認証を受けた原本またはコピー
- 法人番号指定通知書:または法人番号が確認できる書類
代表者に関する書類
- 代表者の本人確認書類:運転免許証、マイナンバーカードなど
- 代表者の印鑑証明書:個人の印鑑証明書
- 法人の印鑑:実印と銀行印
事業実態を証明する書類
- 事業計画書:事業内容や将来の計画を記載
- 事務所の賃貸借契約書:または建物登記事項証明書
- 許認可証:許認可が必要な業種の場合
- 会社のWebサイト:URLを申請書に記載
審査期間と手続きの流れ
法人口座開設の審査期間は、通常2~4週間程度かかります。ネット銀行の場合は1~2週間程度と短期間で完了することもあります。
手続きの流れ
- 銀行への申込:窓口またはオンラインで申請
- 必要書類の提出:原本またはコピーを提出
- 審査:銀行による書類審査と面談
- 審査結果の通知:承認または不承認の連絡
- 口座開設完了:通帳やキャッシュカードの発行
審査に通過するためのポイント
法人口座開設の審査は年々厳格化しており、事業の実態があることを明確に示すことが重要です。
審査で重視される項目
審査項目 | 重要度 | 対策 |
---|---|---|
事業の実態 | 最重要 | 事業計画書、Webサイト、事務所の確保 |
代表者の信用 | 重要 | 過去の信用情報、経歴の整理 |
資本金額 | 重要 | 100万円以上の設定が望ましい |
事業目的 | 重要 | 明確で一貫性のある事業目的 |
おすすめの法人口座開設時期
法人口座は登記完了後できるだけ早く開設することをおすすめします。事業開始に必要な各種手続きに法人口座が必要となるためです。
早期開設のメリット
- 社会保険の加入手続き:法人口座からの口座振替が可能
- 税金の納付:法人税や消費税の支払い
- 取引先との信頼関係:法人口座での取引で信用度向上
- 経理の効率化:個人口座と法人口座の区別により、経理処理が明確化
法人口座開設には時間がかかるため、事業開始日から逆算して余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。特に、取引先への振込や各種支払いに間に合うよう、計画的に進めましょう。
まとめ
法人口座の開設は登記前には不可能ですが、事前準備を充実させることで、登記完了後にスムーズな手続きが可能になります。
特に重要なのは以下の3つのポイントです。
- 適切な銀行選び:自社の事業内容や規模に合った銀行を選択
- 審査対策の準備:事業実態を明確に示せる体制づくり
- 必要書類の把握:登記完了後に迅速に書類を揃えられる準備
これらの準備を登記前に行うことで、会社設立後の事業開始をスムーズに進めることができます。法人口座は会社経営の基盤となる重要な要素ですので、計画的に取り組むことをおすすめします。
法人口座開設は登記完了後でないと申請できないうえに、一般的には審査に約2~4週間かかります。少しでも早く法人口座を持つためには、事前に「銀行を選ぶ」「審査対策を行う」までを済ませておき、会社を設立できたら、すぐに申込ができるようにしておきましょう。