法人口座は何個まで開設可能?複数持つメリットデメリットは?

法人口座は何個まで開設できるのか、多くの経営者が疑問に思っていらっしゃるかもしれません。結論から申し上げますと、複数の銀行にまたがって開設する場合は基本的に制限はありません。
ただし同一銀行内で複数口座開設を開くのは難しい場合があります。
本記事では、法人口座の開設可能数と、複数の法人口座を持つメリット・デメリットについて、どなたにでもわかりやすく解説いたします。
複数の銀行にまたがって法人口座を開設することは可能か?
法人が複数の銀行にまたがって口座を開設することは、基本的に制限がありません。例えば、三井住友銀行、みずほ銀行、楽天銀行など、異なる金融機関にそれぞれ口座を開設することが可能です。
なぜ複数の銀行で口座開設が可能なのか?
これは、各金融機関が独立して審査を行うためです。A銀行で口座を開設していても、B銀行での審査には基本的に影響しません。ただし、以下の点にご注意ください:
- 各銀行で個別に審査が行われるため、すべての銀行で口座開設が承認されるとは限りません
- 同時期に複数の銀行に申し込むことは可能ですが、審査に時間がかかる場合があります
- 信用情報機関を通じて他行での申し込み状況が把握される可能性があります
同一銀行内での法人口座開設数の制限
同一銀行内での法人口座開設については、銀行の種類によって大きく異なります。
店舗型銀行(メガバンク・地方銀行)
一般的な店舗型銀行では、1法人につき1口座が原則です。これは、以下の理由によります:
- 犯罪利用防止のため
- 口座管理の複雑化を避けるため
- マネーロンダリング対策のため
銀行名 | 同一銀行内での複数口座開設 | 備考 |
---|---|---|
三菱UFJ銀行 | 原則1口座 | 特別な事情がある場合のみ相談可 |
みずほ銀行 | 原則1口座 | 特別な事情がある場合のみ相談可 |
三井住友銀行 | 原則1口座 | 特別な事情がある場合のみ相談可 |
ゆうちょ銀行 | 原則1口座 | – |
ネット銀行
ネット銀行では、同一銀行内での複数口座開設を認めているところが多数あります。これは、デジタル技術を活用した効率的な口座管理が可能だからです。
銀行名 | 開設可能口座数 | 特徴 |
---|---|---|
GMOあおぞらネット銀行 | 最大20口座 | つかいわけ口座サービス |
楽天銀行 | 最大20口座 | 用途別の口座管理が可能 |
PayPay銀行 | 最大20口座 | 2024年4月より一法人20口座に変更 |
法人口座を複数持つメリット
複数の法人口座を持つことには、以下のようなメリットがあります。
1. 資金管理の効率化
用途別の資金管理が可能
例えば、以下のような使い分けができます:
- A口座:日常の運転資金用
- B口座:設備投資用の積立
- C口座:税金支払い用
- D口座:従業員の給与支払い用
2. コスト削減効果
手数料の最適化
銀行によって手数料体系が異なるため、用途に応じて使い分けることで手数料を削減できます。
用途 | おすすめ銀行タイプ | 理由 |
---|---|---|
振込が多い | ネット銀行 | 振込手数料が安い |
現金入出金が多い | 店舗型銀行 | ATM手数料が安い |
海外送金 | 外資系銀行 | 為替手数料が安い |
3. リスク分散
ペイオフ対策
預金保険制度では、1銀行あたり1,000万円までしか保護されません。複数の銀行に資金を分散することで、より多くの資金を保護できます。
4. 融資機会の拡大
金融機関との関係強化
複数の銀行と取引関係を築くことで、融資の選択肢が広がります。条件の良い融資を受けやすくなる可能性があります。
法人口座を複数持つデメリット
一方で、複数の法人口座を持つことには以下のようなデメリットもあります。
1. 管理コストの増加
維持費用の負担
- 口座維持手数料の支払い
- インターネットバンキング利用料
- デビットカード年会費
- 通帳・カード発行手数料
2. 管理の複雑化
経理業務の負担増
複数の口座を管理することで、以下の業務が複雑になります:
- 帳簿記入の手間
- 残高管理の複雑化
- 決算作業の増加
- 税務申告の複雑化
3. 審査への影響
信用情報への影響
短期間に複数の口座を開設しようとすると、銀行の審査に影響を与える可能性があります。
同時期に複数の銀行に申し込む場合は、各銀行との取引目的を明確にしておくことが重要です。
複数口座開設におすすめのネット銀行
複数の法人口座を効率的に管理したい場合は、以下のネット銀行がおすすめです。
GMOあおぞらネット銀行
特徴
- 最大20口座まで開設可能
- つかいわけ口座サービス
- 振込手数料が安い(145円〜)
- 24時間365日利用可能
楽天銀行
特徴
- 最大20口座まで開設可能
- 楽天ポイントが貯まる
- 他行宛振込手数料が安い
- 法人向けサービスが充実
PayPay銀行
特徴
- 最大20口座まで開設可能
- 3万円未満の振込手数料が安い
- Yahoo!系サービスとの連携
- セキュリティが充実
法人口座を複数開設する際の注意点
複数の法人口座を開設する際は、以下の点にご注意ください。
1. 用途を明確にする
各口座の使用目的を明確にし、銀行に説明できるように準備しましょう。
2. 必要書類を準備する
各銀行で必要な書類を事前に準備し、スムーズな手続きを心がけましょう。
- 履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内)
- 印鑑登録証明書
- 代表者の本人確認書類
- 事業の実態を証明する書類
3. 管理体制を整える
複数の口座を効率的に管理するため、以下の体制を整えましょう:
- 会計ソフトとの連携
- 定期的な残高確認
- 取引記録の保存
- 担当者の明確化
複数の法人口座を持つことは、適切に管理すれば事業の効率化に大きく貢献します。ただし、管理コストとのバランスを考慮して、本当に必要な口座数を検討することが重要です。
まとめ
法人口座の開設可能数について、重要なポイントをまとめます:
法人口座開設のポイント
- 複数の銀行にまたがって開設:制限なし
- 同一銀行内:店舗型は1口座、ネット銀行は最大20口座
- メリット:資金管理効率化、コスト削減、リスク分散
- デメリット:管理コスト増、業務の複雑化
法人口座を複数持つことは、事業の成長段階や規模に応じて検討すべき重要な経営戦略の一つです。メリットとデメリットを十分に理解し、自社の事業に最適な口座数と銀行を選択することが、効率的な資金管理と事業発展につながります。
この記事の情報は2024年11月時点のものです。銀行の制度や手数料は変更される可能性があるため、最新の情報は各金融機関の公式サイトでご確認ください。