外国人の法人口座開設は可能？審査の難易度や必要書類を解説

近年、外国人経営者による会社設立が増加している中で、法人口座の開設は外国人にとって特に高いハードルとなっています。金融機関のマネーロンダリング対策強化により、外国人が代表者の法人は審査が厳しくなる傾向があります。しかし、適切な準備と戦略があれば、外国人でも法人口座を開設することは十分に可能です。本記事では、外国人の法人口座開設について、審査の実情や必要書類、成功のポイントを詳しく解説します。

外国人の法人口座開設が難しい理由

金融機関の審査が厳格化している背景

外国人経営者による法人口座開設が困難な理由は、主に金融機関のリスク管理強化にあります。銀行は法令に基づき、マネーロンダリングや特殊詐欺等の不正利用を防ぐため、事業の実態や資金の流れについて厳重な確認を行っています。

特に外国人が代表者の場合、事業の実態や資金の流れを把握するために多くの時間と手間がかかるため、日本人が法人口座を開設する場合と比較して審査基準が厳しくなっています。

外国人経営者が直面する主な課題

外国人経営者が法人口座開設で直面する主な課題には、以下のようなものがあります：

外国人の法人口座開設に必要な書類

基本的な必要書類一覧

外国人が法人口座を開設する際に必要な書類は、法人関連書類と代表者関連書類に大別されます。金融機関によって詳細は異なりますが、一般的には以下の書類が求められます。

法人関連の基本書類

• 履歴事項全部証明書（法人登記簿謄本）：発行から6か月以内
• 法人印鑑証明書：発行から6か月以内
• 定款の写し
• 法人番号指定通知書
• 法人設立届出書の写し
• 青色申告承認申請書の写し

代表者関連の書類

• 在留カード（経営管理ビザが望ましい）
• パスポート
• 住民票（発行から3か月以内）
• 健康保険証
• 代表者の印鑑証明書
• 代表者の経歴書（履歴書）

事業実態を証明する追加書類

銀行は事業の実態を慎重に確認するため、基本書類以外にも多くの疎明資料を求める場合があります。

1. 事業計画書（事業内容、収益計画、資金計画を詳細に記載）
2. オフィスの賃貸契約書
3. 会社のパンフレットやウェブサイトの写し
4. 主要取引先との契約書の写し
5. 業務で必要な備品の購入に関する領収書
6. 各行政機関発行の許認可証
7. 国税または地方税の領収書・納税証明書
8. 社会保険料の領収証
9. 公共料金の領収証

審査の難易度と通過のポイント

銀行が重視する審査ポイント

銀行の法人口座開設審査では、以下の項目が特に重視されます：

審査通過率を上げる戦略

外国人経営者が法人口座開設の審査を通過する確率を高めるには、以下の戦略が有効です：

1. 日本在住者を代表取締役にする

最も審査落ちリスクが高いのは海外在住の外国人が申請するケースです。可能であれば、日本在住者を代表取締役に就任させ、自身は主要株主として経営に関与する方法がおすすめです。

2. 複数の銀行に同時申込

メガバンク、地方銀行、信用金庫、ネット銀行など、異なるタイプの金融機関に幅広く申し込むことで、成功確率を高められます。

私見ですが、メガバンクの審査が最も厳しい印象を持っています。現実的には、外国人の新設会社は地方銀行や信用金庫、ネット銀行などで口座を開設してもらって落ち着くケースが多い気がしています。

出典：コンチネンタル行政書士事務所

3. 事業計画書の充実

新設法人は実績がないため、詳細で現実的な事業計画書が重要です。以下の内容を含めることが推奨されます：

• 事業の具体的な内容と市場分析
• 収益計画と資金計画
• 取引先や販売チャネルの具体的な情報
• 従業員採用計画
• 設備投資計画

おすすめの金融機関と選び方

外国人経営者に適した銀行の特徴

外国人経営者が法人口座を開設する際は、以下の特徴を持つ金融機関を選ぶことがポイントです：

金融機関タイプ別の特徴

法人口座開設後の注意点

適切な口座管理のポイント

法人口座開設後は、適切な運用と管理が重要です。不適切な利用は口座凍結のリスクを招く可能性があります。

1. 法人口座と個人口座を明確に使い分ける
2. 定期的に残高・取引履歴を確認する
3. 住所変更等の届出事項は速やかに手続きを行う
4. 口座の不正利用防止対策を徹底する
5. 銀行との良好な関係を維持する

銀行との継続的な関係構築

法人口座開設は事業のスタートに過ぎません。将来的な融資や金融サービスの利用を考慮し、銀行との信頼関係を継続的に構築することが重要です。定期的な事業報告や相談を通じて、良好なパートナーシップを築きましょう。

まとめ

外国人の法人口座開設は確かに困難を伴いますが、適切な準備と戦略があれば十分に実現可能です。最も重要なのは、日本在住であること、適切な在留資格を持つこと、そして詳細な事業計画と疎明資料を準備することです。

審査に不安がある場合は、専門家に相談することも有効な選択肢です。税理士や行政書士、財務コンサルタントなどの専門家は、外国人経営者の法人口座開設をサポートする豊富な経験を持っています。

法人口座は事業運営の基盤となる重要なツールです。本記事で紹介したポイントを参考に、着実な準備を進めて、成功への第一歩を踏み出しましょう。

松本瑛二

CMO

aboutha株式会社 CMO マーケティング統括を行いながら、自身の会社を2024年に立ち上げ。 "価値を正しく伝える"がモットー。 このサイトでは自身の会社立ち上げの際に法人口座の開設が大変だったことから、これから企業を立ち上げていこう、もしくは口座を新しく開設しようとお考えの方に向けてわかりやすく解説していきます。